不動産会社の歴史

不動産業界(仲介)がどのような時代の変遷を経て現在の姿になったのか、100年間を遡って調べてみた。不動産という言葉が誕生したのは120年前のこと。思いの外、古くない。1896年に民法、1899年の不動産登記法が制定施行後、不動産という言葉が使われるようになった。

不動産の歴史

不動産流通が誕生する

明治維新のより、土地の所有権が法的に定められ土地流通や土地金融が始まった。明治6年(1873年)の地租改正で土地に関する私的所有権が確立され、土地の価値に見合った金銭(税金)を所有者に納めさせる課税制度が始まった。土地に対する所有権を法的に定めると同時に土地の所有を公証する地券を発行し、土地の流通は、地券により行われるようになった。明治18年(1885年)に登記法が成立し、土地の所有は登記簿によりを公証するようになり地券は廃止された。

日本最初の不動産会社「東京建物」が設立されたのは、明治29年(1896年)である。明治32年(1899年)に登記法は廃止され、それに変わって不動産登記法が施行された。

大正10年(1921年)、旧・都市計画法や旧・借地借家法という不動産の法律が施行された。それにともに様々な不動産関連法律が誕生した。借地人や借家人は地主や大家さんに対して力が弱く、借地人や借家人を保護するための法律改正である。 土地を借りたら半永久的に借りれる、住まいを借りたから主たる理由がなければ退去させれないなど、不動産取引の在り方を大きく変えた。

 

不動産の歴史

敗戦に伴い不動産の近代化が始まる

昭和時代になり太平洋戦争で世の中が大きく動く。戦争で多くの人が家を失い、土地の所有をめぐっても多くの混乱があった。さらに、進駐軍(GHQ)によって憲法、民法など改正された。戦災復興にあわせて、民間企業による宅地開発にも拍車がかかる。この段階で多くの不動産会社が創業されていくことになる。1937年に三菱地所、1941年に三井不動産、1949年に住友不動産が創業した。不動産開発事業の幕開けである。

 

ダーティなイメージが先行した不動産仲介業

戦前の不動産取引・仲介に対する規制は地方行政の中で行われていた。その規制は「大日本帝国憲法」 によるものであった。太平洋戦争で敗戦(1947年)したことで、「大日本帝国憲法」は廃止され「日本国憲法」が施行された。これにより不動産取引・仲介に対する行政の規制は失効し撤廃された。その結果、不動産仲介業はだれでも自由に開業できるようになった。

法的規制がないことで、不動産取引と称して人々から金品を騙し取ろうとする者や、不動産に関 する専門知識に欠け顧客に損害を与えるケースが急増し、不動産取引に関わる紛争が多発した。ヤクザ者でもあっても、不動産業を開業できるわけで、いわゆる悪徳ビジネスモデルの不動産会社も急増し社会問題にもなった。その名残もあり、不動産会社(周旋屋)は胡散臭いという昭和生まれの高齢者は少なくない。

 

不動産会社

農地法の改革とともに、1952年に現在の宅建業法(宅地建物取引業法)が誕生される。これが現在の不動産取引の基盤となった。その12年後に、東京オリンピック開催の1964年に宅建法が改正され業者の免許制に移行されて悪質な不動産会社も減少していくようになった。

右肩上がり経済成長を背景に不動産流通事業も本格化

日本経済が右肩あがりで成長し、マンションブームや宅地開発と分譲事業(ニュータウン事業)などが活発化した。土地取引も増大し住宅地の地価も高騰(バブル)、高度経済成長の時代が到来する。銀行も不動産を担保に積極的に貸付を拡大していく。住宅金融公庫のよる中古マンションや中古住宅への融資がスタートし、不動産流通事業の本格化がはじめる。1975年前後に三井不動産、住友不動産、東急電鉄などの大手不動産会社会社が仲介ビジネスをメインに取扱う企業を子会社を設立しスタートさせた。

不動産流通の問題解決とレインズ誕生の背景

1980年、宅建業法改正において専任媒介契約(依頼者が他の媒介業者に重ねて依頼することができない契約類型)が法定化されるまでは、不動産取引は現在の一般媒介(非明示型)で、依頼者がより有利な条件を求め、様々な不動産業者に依頼していた。

不動産業者サイドは顧客はどの業者に依頼していることすら把握できないので積極的に成約努力をしない。 そうでなければ、他の業者から「抜かれない」ように具体的な物件情報を囲い込み(秘匿する)、物件や顧客が特定できないように曖昧な情報を流すなどすることが多く閉鎖的で不透明な不動産市場となっていた。

このような事態(社会的な問題)を解決しより透明な不動産市場を整備することを目的に、専属専任媒介契約又は専任媒介契約をした業者はレインズ(指定流通機構)に登録することを義務付けられるようになった。これがレインズの始まりで、その後、高度情報通信システムを利用し取引の効率化・市場の透明化を目指して稼働し現在に至っている。

 

不動産テック

インターネットで変わりつつある不動産流通環境

21世紀、高度情報化社会が到来し、消費者がインターネットを介して物件情報にアクセスできるようになり不動産流通業界も転換期を迎えた。多くの不動産会社では、自社ホームページを開設し、物件情報データベース化も進んできた。また、不動産情報を紙媒体中心で提供していたメディアも一斉に不動産情報ポータルサイトで情報提供を本格的に開始した。

情報技術の進展により、不動産会社と一般消費者の情報格差は少しずつではあるが縮まってきている。しかしながら、不動産取引情報(交渉、成約価格情報)は不動産会社専用の情報サイト(レインズ)上でしか流通していないという現実。そのため、情報面で不透明な情報操作(両手取引を目的とした物元業者による囲い込みなど)は未だに解決していない状況である。

加えて、登録されている情報の内容不足(登録項目は約500項目あるが必須な項目は、価格、専有面積、住所、間取り、取引形態など数項目だけでそれ以外の項目の登録率も低い点の改善も今後の課題である。

不動産会社と一般消費者の情報格差(非対称性)は徐々に縮まりつつあるが、世界的な視点でみると、日本国内の不動産取引に関して、不動産流通業界の(透明性が担保された)情報発信の取組み、消費者のリテラシーは残念ながら未だ開発途上、未成熟である。

近い未来、情報技術(不動産テック等)の進展で、不動産流通業界にも大きなブレイクスルーが始まり、流通する情報の量と質が大幅に改善されるようになると思う。今より透明かつ公正な情報が開放型なネットワークで流通するようになれば、不動産流通市場そのものが活性拡大し一変し、国内経済成長にとって好循環となることは期待できる。