本日の内閣府の発表によると、消費税増税後、個人消費面では駆け込み需要の反動減はでているものの緩やかな回復基調ということのようでした。ただ、緩やかな回復とはいいながらも弱含みで成長軌道にはもどってないという見方もあるようです。
先日(6月10日)に、レインズ(東日本不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構)で平成26年5月度の不動産取引の市況データの発表がありましたのでそれについて整理しました。
不動産流通関連の指標ですが、先月の4月分の増減を調整するような市場結果だったように思います。
1)中古マンションの売却/成約価格の推移(首都圏)
まず、首都圏の中古マンションの売却価格(平米単価)の推移状況ですが、東京都は4月の上昇分の反動減という感じで弱含み。神奈川県は4月の減少分を取り返した。千葉県についてはほぼ変わらずで、埼玉県は前月比で価格が下落しました。
■平成26年5月度の結果サマリー
平成26/5月 | 平米単価(万円) | 前月との比較 | 平均価格と比較 | 平均価格(万円)※ |
東京 | 54.38 | -5.18% | +7.17% | 50.68 |
神奈川 | 37.31 | +2.84% | +5.16% | 35.48 |
千葉 | 24.23 | +0.62% | +1.78% | 23.81 |
埼玉 | 23.65 | -5.85% | +3.70% | 24.56 |
※ 平均価格はh23/1~h25/12の3年間の平均平米価格 ◉過去3年間の平米当たりの成約価格(実際の売れた価格)の推移グラフ

2)中古マンションの売却/成約価格の推移(関西圏)
関西圏の中古マンションの売却価格(平米単価)の推移状況ですが、大阪府は4月度の上昇分、下落しました。兵庫県は下落傾向で要注意な感じです。京都府では4月の下落分を取り戻す感じの上昇となりました。
■平成26年5月度の結果サマリー
平成26/5月 | 平米単価(万円) | 前月との比較 | 平均価格と比較 | 平均価格(万円)※ |
大阪 | 25.00 | -7.75% | +3.42% | 24.17 |
兵庫 | 22.60 | -1.74% | -3.38% | 23.39 |
京都 | 29.50 | +7.66% | -6.32% | 27.75 |
※ 平均価格はh23/1~h25/12の3年間の平均平米価格 ◉過去3年間の平米当たりの成約価格(実際の売れた価格)の推移グラフ

3)土地の売却/成約価格の推移(首都圏)
首都圏の土地の売却価格の状況ですが、東京都では前年同月比で5月度の売買成立件数が20%程度減少しており、完全に売り控え状態となっています。成約価格面では、東京都は横ばい、埼玉県が今年になって若干の上昇傾向となっています。神奈川県、千葉県は横ばいです。
■平成26年5月度の結果サマリー
平成26/5月 | 平米単価(万円) | 前月との比較 | 平均価格と比較 | 平均価格(万円)※ |
東京 | 32.85 | +0.34% | +4.01% | 31.58 |
神奈川 | 18.57 | -2.72% | -0.25% | 18.62 |
千葉 | 9.29 | -10.41% | -8.21% | 10.12 |
埼玉 | 14.73 | +7.44% | +9.40% | 13.46 |
※ 平均価格はh23/1~h25/12の3年間の平均平米価格 ◉過去3年間の平米当たりの成約価格(実際の売れた価格)の推移グラフ
4)土地の売却/成約価格の推移(関西圏)
関西圏の土地の売却価格の状況ですが、大阪府は前月上昇分の下落、京都は前月比で下落、兵庫は上昇となっていますが、件数が少ないため価格の上下動がはげしくなっていますが、過去3年間の動きで見る限り、心配しなければいけないほどの下落傾向はありません。
■平成26年5月度の結果サマリー
平成26/5月 | 平米単価(万円) | 前月との比較 | 平均価格と比較 | 平均価格(万円)※ |
大阪 | 14.60 | -8.75% | +1.19% | 14.43 |
兵庫 | 12.80 | +26.73% | -4.31% | 13.38 |
京都 | 14.40 | -14.29% | -9.72% | 15.95 |
※ 平均価格はh23/1~h25/12の3年間の平均平米価格 ◉過去3年間の平米当たりの成約価格(実際の売れた価格)の推移グラフ
5)平成26年5月度の総括
中古マンションの売買では、金融機関からの資金調達も活発な状況で大都市圏では購入意欲は衰えていないように思いますが、成約価格の上昇基調も一時的に踊り場に入って来たかな?という感じです。新年度に入り若干の賃金上昇もありましたが、その一方で消費税の増税があり一般消費者にとってはプラスマイナスゼロな感じです。
増税後、住宅関連では資材関係、工事関係が上昇しており建築費、リフォームなどの費用も増加傾向にあり、購入者には負担増となってきており、来年度にさらに消費税が10%に増税されるとかなり厳しくなってくることが予想されています。住宅ローン減税の拡充やすまい給付金等で穴埋めをしていくことでその負担増分を戻せるかどうかも買い手にとっては重要なところですね。
このような背景で売却のタイミングを考えてみると、消費税が10%へ増税する前に「住み替え」する買主を狙うのが(高値で売却)賢明な判断となります。時期的には、今年の秋から年明けまでとなります。 不動産の売却や住み替えのご予定があるのであれば、現在の査定額と売却プランを早々に入手し比較検討を開始されることをお勧めします。
大都市圏ではないエリアでは景気回復の実感も薄く不動産の購入や買い換えに大都市圏ほど積極的でない現状もあり、政府の経済成長戦略が今後、どのように地方にも波及していくの見極めていく必要があります。
国内の経済成長の動向、消費税増税の行方、それらに伴い金利の動向に注目していきたいですね。
データ出典:東日本不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構